松山地方裁判所 昭和38年(ワ)133号 判決
主文
被告は、原告に対し別紙図面中〈1〉〈2〉〈イ〉の部分を明け渡せ。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実
第一、当事者の求める判決
一 原告
主文と同旨
仮執行の宣言
二 被告
請求棄却
訴訟費用原告負担
第二、当事者の主張
一、原告
(一) 左記田二筆は原告の所有である。
(別紙図面〈1〉〈2〉〈3〉〈4〉〈5〉〈イ〉〈ロ〉の全部)
記
伊予郡砥部町大字七折字野中甲八四番一
一 田 一反八畝二二歩
同所 甲八三番
一 田 四畝二五歩内冷水路三歩
(二) 右のうち〈1〉(甲八四番の一の一部分)、〈2〉(同じく一部分)および〈イ〉(甲八三番の一部分)は現在被告が占有中である。
(三) よつてその明渡を求める。
二、被告
(一) 右(一)(二)とも認める。
(二) 昭和一九年ころ原告の先代坂本精市(昭和二六年九月二三日死亡)が、前記二筆の田全部を、同人の兄坂本守吉の分家の入夫である被告に賃貸した。
(三) 昭和二二年中に〈3〉〈4〉〈5〉〈ロ〉の部分を、被告は原告先代に返還した。
(四) 従つて〈1〉〈2〉〈イ〉は賃貸借にもとづき占有中である。
三、原告
(一) 右(二)(三)は認める。
(二) しかしながら賃貸借の期間は一年の短期間であつた。
四、被告
(一) 右(二)を否認する。期間の定めのないのであつた。
五、原告
期限である昭和二〇年中に被告が返還しなかつたため、うやむやとなつて、かりに暗黙の合意で賃貸借の期間の定めのない賃貸借となつたとしても、又は当初からそうであつたとしても次の理由で明渡を求める。
(一) 昭和四二年一二月二五日付で、愛媛県知事久松定武は、〈1〉〈2〉〈イ〉につき、賃貸借の解約の申入をするについての許可をした。
(二) 原告訴訟代理人は、被告訴訟代理人に対して、昭和四三年一〇月三〇日午前一〇時の当裁判所における本件第四回口頭弁論期日において、解約の申入をした。
(三) 従つて右の日後一年を経過した昭和四四年一〇月三〇日の終了を以つて賃貸借は終了している。
六、被告
右(一)を認める。
ただし、県知事の許可処分の取消訴訟を提起し、目下当裁判所に係属中である。
第三、証拠(省略)
別紙
〈省略〉